現代版養生訓

2018年の現代版養生訓

1月

市立病院 歯科口腔外科 冨岡大寛 医師

顎関節症とは?

顎の関節周辺に何らかの異常がある「顎が痛い」「顎が鳴る」「口が開けづらい」などが主症状の慢性疾患で、原因はいくつかあり状態はさまざまですが、まとめて顎関節症と呼びます。
以前は顎関節症の原因はかみ合わせの異常にあるといわれていましたが、現在では原因となる因子がいくつかあり、

  1. 「くいしばり」「歯ぎしり」
  2. ストレス
  3. 左右どちらかだけでかむ偏咀嚼
  4. うつ伏せ寝、頬杖をつくなどの日頃の癖
  5. 悪いかみ合わせ

などがあります。これらが積み重なり耐久限界を超えたときに発症するといわれています。
治療方法ですが、以前は、大掛かりな手術や、かみ合わせを大きく変える治療が行われていましたが、最近では、顎関節症は、「自然の経過により、治癒あるいは症状の軽減が見込める疾患」との考え方が大勢を占めています。
現在では、最初の段階で大掛かりな治療を行わず、薬による治療や顎のリハビリといった治療が主体となっています。
自宅で注意いただきたいことですが、顎関節症と診断された方のうち5〜7割で、無意識に上下の歯を合わせる癖があることがわかってきました。
食事の際や、スポーツ、仕事などでくいしばる時以外、上下の歯が合わさることはほとんどありません。何もしていない時でも歯が合わさっている方は、普段から歯が合わさっていないかチェックして、合わさっている場合は、顎全体の力を抜き、歯がかみ合わないよう意識してください。
さらに筋肉のマッサージは自宅でもできます。直接顎に負担のかからない生活を心がけましょう。

2月

市立病院 皮膚科 上條史尚 医師

皮脂欠乏症とは?

冬は乾燥が気になる季節。肌が乾いてカサカサしたり、かゆみが出たりといった乾燥肌トラブルに悩む方も多いのではないでしょうか。
皮脂欠乏症(乾皮症)は、皮膚の表面の脂が減少することにより皮膚の水分が減少して、乾燥を生じてしまう病気です。中高年者の手足、特に膝から下によく見られ、皮膚がカサカサしてはがれ落ちたり、ひび割れたりします。特に女性の方が男性よりやや早い年代から起こってくるようです。軽い皮脂欠乏症は、病気というより生理的な変化と言えるかもしれません。
皮脂欠乏症の多くは、かゆみを伴い、かいてしまい、赤みやひび割れなどの急性湿疹を生じ、皮脂欠乏性皮膚炎と呼ばれる疾患となり、治療が必要になります。放置すると、夜中に目が覚めるほどのかゆみから、かきむしるようになり、皮膚がごつごつした慢性湿疹に変化していく場合もあります。
乾燥を予防する方法はいろいろありますが、一番は保湿ケアをすることです。お風呂上がりに保湿剤をたっぷり(ティッシュペーパーがくっつくぐらい)塗ることが最も効果的です。身体を洗うときも、ゴシゴシ洗うと汚れと一緒に大切な肌の潤い成分も落としてしまいます。しっかり汚れが落ちて気持ちいい!と感じる人も多いですが、これでは肌のバリア機能が破壊されて、かえって乾燥肌を助長します。また湯船のお湯が熱すぎると皮膚への刺激が大きくなり肌の乾燥やかゆみを招くことになります。もう少し寒い季節が続きますが、お風呂に入る際には、ぬるめのお湯がおすすめです。

3月

市立病院 麻酔科 沓名慎也 医師

手術ベッドはエコノミー?〜でもマッサージ付き〜

静脈血栓症、肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)という言葉をお聞きになったことがあるかもしれません。長距離旅行中や車中泊などで長時間同じ姿勢でいると血液が滞り、静脈内に血栓ができるのが静脈血栓症です。脚の静脈は太いので血流がよどみやすく、血栓が大きくなる傾向にあります。何かのきっかけで血栓が流れ、心臓を通って肺の動脈をふさいでしまうことがあり、これを肺血栓塞栓症といいます。肺に血液を送ることができず、からだが酸素不足になったり、血栓が大きい場合は血液の循環ができなくなって死亡することもあります。
手術中、麻酔がかかっているあいだは同じ姿勢でいるため、静脈血栓症を起こしやすい状況です。このため手術中は弾性ストッキングを履いたり、脚のマッサージをして静脈血栓症の予防をしています。また脚を骨折してしまった患者さまは脚を動かすことが難しく、手術前から血栓ができやすくなります。このような方には手術前から弾性ストッキングを履いたりマッサージをしています。手術前後の肺血栓塞栓症は1万例に数例と言われ、発症すると約6分の1が死亡すると言われています。このため当院麻酔科では、手術前の血液検査や下肢エコー検査で血栓の有無や性状を評価しています。剝がれそうな大きい血栓があれば、肺血栓塞栓症の予防薬を使ったり、流れてくる大きな血栓を捕まえるフィルターを心臓近くの静脈に留置することもあり、手術担当科や循環器科と協力して肺血栓塞栓症の予防に努めています。

4月

市立病院 緩和ケア内科 山田武志 医師

支持療法

がん治療を行う時、必ずと言っていいほど副作用の話をされることと思います。抗がん剤治療ではもちろん、手術治療や放射線治療でも、昔と比べるとかなり減ってはきましたが、副作用が全くないがん治療というものは残念ながらありません。昔はがんだから仕方ないといわれ、「がんばりましょう」という言葉でごまかすしかない場面も多々ありましたが、現代の医療において、がんばる以外にどうしようもない副作用というのはとても少なくなっています。せっかく効果のあるがん治療が行われても、副作用で中止となってしまうのは非常にもったいないことですし、治療をしてがんは治ったとしても、手足のしびれなどの副作用でその後の生活の質が落ちてしまうことも残念な話です。また、「副作用が嫌だから治療はしたくない」という風潮があることも仕方のない事とはいえ、がんが治るかもしれないチャンスを棒に振っているかもしれません。
2017年に策定された第三期「がん対策推進基本計画」では、そのような副作用を極力少なくし、患者さんの生活の質を向上するための「支持療法」について、ガイドラインの策定や標準治療の確立に国を挙げて取り組んでいくことが明記されました。
ただし、支持療法で用いる薬剤は、わが国では保険適応外となってしまうものも存在し、一般的に広く使うということは難しいものもあります。
緩和ケアでは症状緩和としてこのような支持療法に関しても積極的に取り組んでいます。副作用で困った時などはお気軽に受診の相談をしてみてください。

5月

市立病院 消化器内科 野沢祐一 医師

大腸内視鏡検査の大切さ〜大腸がんのおはなし〜

大腸がんは悪性腫瘍の中で死亡率においては男性で3位、女性では1位であり、2016年の統計で依然として上昇傾向にあります。大腸がんのリスク因子としては、喫煙、糖尿病、肉類、飲酒、肥満であるといわれています。また予防因子として大切なのは、食物繊維を取ること、そして適度な運動をすることです。運動や禁煙は大腸がん予防に限らず推奨されますが、現代社会において、食生活などを変えることはなかなか難しいかと思います。
そこで予防と並んで大切なのは早期発見です。現在、人間ドックや健康診断で大腸がんの検査として便潜血検査を行うことが多いですが、便潜血検査はそもそもの受診率が低いこと、そして検査でひっかかっても精密検査、つまり大腸内視鏡検査を受ける人が少ないことが問題です(検査でひっかかった人の6割しか精密検査を受けていないというデータがあります)。
精密検査受診者が増えない原因としては、検診までは受けたものの精密検査でがんが見つかるのが怖い、以前検査を受けた、または周りに検査を受けた方で、あんな痛い検査は二度と受けたくないという方が多いことも要因かと思います。しかしポリープを切除すると、その後の大腸がんにかかる率を7〜9割以上減少させたという報告などがあり、大腸内視鏡検査の大切さを示しています。最近では鎮静剤を用いたり、内視鏡そのものも細くなったり、より苦痛を少なくするような工夫がされています。
大腸がんは早期で発見できれば治癒する可能性が高いがんの一つです。ぜひ検診や精密検査を受けましょう。

6月

市立病院 総合内科 白籏久美子 医師

貧血

貧血は、女性の病気と思われている方、いらっしゃいませんか?
貧血は、実は男性にも見られる病気で、陰に大腸がんなどの悪性腫瘍や腎臓病などが隠れていることもあるので注意が必要です。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、赤血球が減ってしまう状態を貧血といいます。赤血球は、酸素を体の隅々まで運んでくれる重要な役割を担っています。赤血球が少なくなると、全身が酸素不足になってしまいます。そのため、動くと息切れがしたり、心臓に負担がかかって動悸が起こることがあります。貧血が進行すると、疲れやすくなったり、めまいがしたり、足がむくんだりするなど、さまざまな症状が現れます。食べ物が飲み込みにくくなったり、口内炎ができることもあります。時には、集中力がなくなったり、イライラしたりという症状がでることもあります。
貧血のほとんどは、赤血球の重要な材料である「鉄」が不足することによる鉄欠乏性貧血です。女性に貧血が多いのは、月経による出血で鉄が多く失われることや、ダイエットによる偏った食生活などの影響があるといわれています。
しかし、貧血は「鉄」が不足することだけが原因ではなく、悪性腫瘍があったり、消化管からの出血で赤血球が失われたり、腎臓が悪くて赤血球が作られなかったり、血液の病気だったり、いろいろな原因で起こります。だから、女性だけの病気ではなく、男性にも起こる病気なのです。
体調がおかしいなと思ったら、一度貧血がないか検査をしてみたらいかがでしょうか。かかりつけ医の先生に相談したり、健康診断を受けることをお勧めします。

7月

市立病院 循環器内科 上島彩子 医師

不整脈って怖い病気ですか?

不整脈は脈の乱れのことです。そう聞くと、とても怖い病気と思うかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
その中には、脈がゆっくり打つ(徐脈)、速く打つ(頻脈)、または不規則に打つものがありますが、原因はさまざまで、病気に由来するもの、またそうでない生理的なものもあります。例えば、運動や緊張、発熱による頻脈は生理的なものです。
どんな症状を伴うのでしょうか。動悸がする、脈が遅い、速い、または飛ぶ、不規則になる。あるいは自分では気が付かないのに、心電図をとると「不整脈」と言われて分かることもあるかもしれません。
「脈」は、心臓から押し出される血液の拍動が血管に伝わって感じられるものです。心臓は筋肉でできていて、その上の方にある「洞結節」という場所で作られたわずかな電気(刺激)が流れて筋肉が興奮することで動きますが、この電気の流れの故障が不整脈です。必ずしも心臓が悪いから起きているのではありません。ただ一方で、心臓病のために電気の流れが故障して不整脈が起こることも事実です。
では、どんな不整脈に注意すべきでしょうか。「急に意識を失う」はとても危険です。その場合はできるだけ早く病院に行きましょう。「脈が減り息切れがする」「突然脈が速くなり動悸がする」「脈が不規則で速く打つ」なども病的な不整脈の可能性が高いです。
ただこれらのような怖い不整脈でも、その多くが治せるようになってきました。不整脈をただ怖がるのではなく、自分の不整脈を知ることが大切ですので、気になる症状があれば専門医に相談してみてください。

8月

市立病院 腎臓内科 三井憲 医師

尿検査について

皆さん、健康診断を毎年受けていますか。今回は、尿検査についてのお話です。
尿検査では、尿潜血、尿タンパクなどを調べます。
尿潜血は、尿に血液が混じっていないかどうかを調べる検査です。尿を作る腎臓や、尿の通り道である尿管、ぼうこうなどに出血の原因があると、陽性になります。糸球体腎炎や、尿路結石、ぼうこう炎などが、尿潜血の主な原因疾患です。
尿タンパクは、尿中のタンパク質の量を調べる検査です。腎臓では、血液中の不要な老廃物だけが排せつされ、体にとって必要なタンパク質は再吸収されますが、腎臓に何らかの障害があると、尿の中にタンパク質が漏れ出てしまいます。尿タンパクが陽性の場合、慢性腎臓病などの可能性があります。一方、腎臓の機能が正常でも、運動の後や、風邪などによる発熱、精神的なストレスなどが原因で、一時的にタンパク尿が出ることがあります。これを生理的タンパク尿といいます。
また、最近の研究では、健診で、尿タンパクが「1+」以上であった受診者は、「-」や「±」の受診者と比べて、末期腎不全に至るリスクだけではなく、心臓病などで死亡するリスクが高くなるとの報告もあります。医療機関で診療を受けることにより、これらのリスクを軽減できる可能性があります。
慢性腎臓病は、初期の段階では自覚症状がありません。そして、むくみや、倦怠感などの自覚症状が現れるころには、すでにかなり病状が進行していることが多いといわれています。
健康診断での検尿異常は、腎臓病を早期発見する重要な機会ですので、もし検尿で異常を指摘された場合は、早めにお近くの医療機関を受診しましょう。

9月

市立病院 脳神経内科 吉田拓弘 医師

脳神経内科と心療内科の違いは何ですか?

「脳神経内科と心療内科は同じですか?」と聞かれた医者は次のように答えます。「全く違います。心療内科は精神科のことで、心の病気を扱う所。脳神経内科は脳梗塞とかパーキンソン病とかを診る所。」実務的にはこれが正解です。
しかしちょっと変ですね。脳神経内科の方は定義ではなく実例を挙げているに過ぎません。あと「心」とは何ですか?これは科学、哲学、宗教における永遠のテーマで、本当は誰も知りません。神経細胞の電気信号のことなのか、「体」とは別物なのか、仏教の説く空(くう)のように、実体のない関係性なのか。突き詰めるほど見えなくなり、結局、般若心経のように「無脳神経内科亦無心療内科…」の境地へ?
考え過ぎは健康に良くないので、この先は哲学者やお坊さんにお任せしましょう。ここでは脳神経内科で扱う病気を簡単に紹介します。一番多いのが脳梗塞。次に認知症やパーキンソン病のような脳細胞が徐々に変性し機能を失う病気。パーキンソン病では手足が震え、固くなり、歩きづらくなります。感染などにより脳に炎症を起こす病気は脳炎や髄膜炎。脳の電気信号がショートすると、てんかんとなりけいれんします。ギランバレー症候群のような末梢神経を傷つける病気では、左右の手足が動かしづらくなります。
イメージ湧きましたか?守備範囲がどうしてもはっきりしないのが、脳を相手とする当科の宿命です。「脳神経内科とは何か」が明らかになる時は、恐らく人間が森羅万象を解き明かした時です。一応最後に確認ですが、脳神経内科と心療内科は違いますよ。念のため。

10月

市立病院 糖尿病代謝内分泌内科 小林睦博 医師

更年期障害の症状と似ている甲状腺の病気

更年期とは、女性の閉経前後の女性ホルモンが急に減少する40歳代から50歳代の時期です。更年期障害の症状といえば、月経不順、のぼせ、ほてり、冷え、発汗、動悸、下痢、便秘、肩こり、イライラ、物忘れ、集中力の低下などさまざまです。
一方、この年代の女性には、慢性甲状腺炎(別名、橋本病)も多く発症します。甲状腺ホルモン過剰の場合の症状は、疲れやすい、動悸、脈拍が速くなる、汗かき、暑がり、体重が減る、精神的に不安定になる、イライラ、落ち着きがない、月経不順などです。反対に、甲状腺ホルモン不足の場合の症状は、体温が低い、寒がり、皮膚が乾燥しかさかさする、顔や手足がむくみっぽい、便秘、脈拍が遅い、やる気が出ない、頭の回転が鈍い、月経不順などです。
これらの症状は、前述の更年期障害の症状とよく似ていますよね。いくつかの症状が当てはまるなら、それらの症状は更年期のせいではなく、甲状腺が原因かもしれません。ぜひ、かかりつけの医療機関で甲状腺ホルモン検査を受けてみてください。慢性甲状腺炎の経過中に起こる無痛性甲状腺炎では、甲状腺ホルモンが1〜2カ月過剰状態になって、その後低下し、不足状態になる場合もあります。
甲状腺の病気を持っていると告白した有名人は何人もいます。症状が出てから診断がはっきりするまで何年もかかって症状に苦しんだという人もいます。早く治療を始めれば、つらい症状に苦しまなくて済みます。自分の症状を更年期のせいと諦めないで、ぜひ検査を受けてみてください。

11月

市立病院 外科 荻原裕明 医師

大腸がんの抗がん剤治療について

ひと言で大腸がんといっても、それぞれのがんによって異なる性格を持っており、これによって治療法、特に抗がん剤治療が変わってくることを知っていますか?
一般に大腸がんの抗がん剤治療では、5FU、オキサリプラチン、イリノテカンという3種類の薬剤を柱として、そこに分子標的薬と呼ばれる薬剤を組み合わせて治療が行われます。以前はこの組み合わせだけが注目されていましたが、最近ではがん組織の遺伝子を調べ、それに合わせて薬剤を選択するようになってきました。また、最近の研究では大腸がんが発生する場所(奥の方か手前の方か)によってもがんの性格が違うといわれており、これによって治療に用いる薬剤の優先順位が変わってくるようになってきました。
このように、大腸がんにもいろいろな性格を持ったがんが存在しており、抗がん剤治療においてはその性格の違いが重要となってきます。
個々のがんに合わせた組み合わせが選択され、治療効果が向上してきた大腸がんの抗がん剤治療ですが、がんの根治を目指す治療の第一選択は、やはり内視鏡や手術によってがんを切除することです。大腸がんは早い段階で発見されれば根治が期待でき、検診で死亡率を減らすことができるがんのひとつでもあります。
抗がん剤治療の成績が良くなってきているとはいえ、やはり早期発見が重要であることに変わりはなく、少しでも早い段階で見つけることが重要です。そのためには人間ドックや健康診断などを利用して、早期発見に努めることが重要であると考えます。

12月

市立病院 呼吸器外科 冨永義明 医師

肺がんの話〜外科医の思い〜

皆さんは肺がんについてどのようなイメージをお持ちでしょうか。
2014年の資料によれば、 生涯で肺がんに罹患 (病気にかかること)する確率は男性10%、女性5%、肺がんで死亡する確率は男性6%、女性2%だそうです。この数値を高いと思われますか。それとも低いと思われるでしょうか。
最新のがん統計(2016年)によると、死亡した人が一番多いがんは残念ながら肺がんでした(男性は1位、女性では大腸がんに次いで2位、合計で7万人以上の方が肺がんで亡くなりました) 。ではなぜ肺がんで死亡する人が多いのでしょうか。まずせきや血痰、胸痛や息切れなどの症状が胸痛や息切れなどの症状が一般に病状が進んでいることが多く、有効な治療手段である手術の対象とならないことがほとんどです。また肺がんは、高齢になるほど罹患する人が増えるため、早期発見できたとしても心血管疾患や糖尿病、間質性肺炎などを合併していて、全身麻酔で行う手術に耐えられないと診断されることが少なくありません。肺がんは、一部の組織型を除きⅠ期〜ⅢA期までが手術治療の対象となります。仮にⅠ期の段階で手術ができれば、約80〜90%の5年生存率が期待できますが、実際に手術を受けられる患者さんは、肺がん全体の3割にとどまるのが現状です。
肺がんで命を失わないためには、禁煙で予防を心がけていただくこと、検診を受けていただき無症状のうちに発見することが重要です。そして肺がんになってしまっても手術を受けられるように、高血圧症や糖尿病などの病気がある方は、それらをしっかり治療しておくことが大切です。