病院からのお知らせ

感染拡大状況&小児について

2020.05.22

皆さんの自粛により全国の新規感染者が減少し、緊急事態宣言が順次解除されています。今までにどのくらいの方が感染したのでしょうか?ニューヨーク等の大規模な検査によると、既に発見されている方以外に数倍から数十倍の感染者が広がっていることがわかってきています。東京では、日本赤十字社や東京大学が行なった抗体検査(血液で検査します)によれば、0.6%の陽性率であったとの報道がありました。今後、更に大規模な調査が行なわれる予定です。
 また、最近明らかになった台湾CDC等の研究結果の報告では、発症後6日以後に他人に感染させた事例はなかったとのことです。発症前後は感染力があるが、1週間程度で感染力を失うのかもしれません。感染力(基本再生産数)についても、インフルエンザと同じくらいとされており、今年のインフルエンザの感染者が非常に少なかったのと同様、皆がマスクと手洗い、あと3密を避けることでかなり感染拡大を防止できるのではないでしょうか?

 日本小児科学会から、小児についての医学的知見の現状が発表されました(5/20)。
COVID-19 患者の中で小児が占める割合は少なく、その殆どは家族内感染である。日本国内では 5 月 3 日時点で 10 歳未満の患者総数は 246 人(1.6%)、10~19 歳では 352 人(2.3%)
現時点では、学校や保育所におけるクラスターはないか、あるとしても極めて稀と考えられる。インフルエンザの場合とは異なり、COVID-19 が学校や集団保育の現場でクラスターを起こして拡がっていく可能性は低いと推定される。
小児では成人と比べて軽症で、死亡例も殆どない。
●欧米では川崎病を疑わせるような多臓器系炎症性症候群が、小児COVID-19に関連して発症するという報告が出ており注目されているが、現時点で、国内で COVID-19 流行に伴って川崎病の発症が増えた報告はない。

小児の COVID-19 は殆どの場合、成人と比べて軽症であることから、経過観察または対症療法で対応する。

 少し安心できる知見です。また、

欧米の研究や考察では、学校や保育施設の閉鎖はその他のソーシャル・ディスタンスと比べて効果は少なく、教育・保育・療育・医療福祉施設等の閉鎖が子どもの心身を脅かしている。
 子どもは多くの場合、親から感染しているが、幸い殆どの症例は軽症である。しかし、COVID-19 流行に伴う社会の変化の中で様々な被害を被っている。として、感染のリスクよりも、別の理由で子ども達に被害が及んでいることが指摘されています。今後の対策に活かされるとよいですね。

 今後しばらくは小康状態になるかもしれませんが、やがて第2波が来るといわれています。新しい生活様式や様々な準備が今のうちにできるとよいですね。また、新型コロナウイルスは、「(症状がない場合もあり)誰もが感染者になりうる」病気です。感染者を決して差別や批判することがないよう、また、ご自分がうつしてしまわないようにマスクと手洗いをしっかりお願いします。