平成29年度 飯田市立病院 病院指標

内科では診断群分類別の患者数とした場合、１位は胆管結石や胆管炎に対し内視鏡を用いて結石を取り除いたり、胆道にステントを留置し胆汁の流れを改善させる手術を行う症例となります。2位は悪性リンパ腫全体の９割程度を占めるといわれる非ホジキンリンパ腫で、3位に感染症によって生命を脅かす臓器障害が現れる状態の敗血症、4位に腎臓または尿路の細菌による感染症、5位に胆嚢水腫、胆嚢炎等と続きます。

虚血性心疾患とは心臓に酸素や栄養を送る冠動脈の狭窄によって発症する狭心症や心筋梗塞のことで359入院で最上位でした。
上位１位と２位はそのうち緊急手術を必要としない症例です。１位はステントなどのカテーテル治療を必要とせず検査や薬による治療を行った入院、２位はカテーテル治療を行った入院です。緊急治療を含めると冠動脈治療のための入院は180入院でした。虚血性心疾患入院の約半数がカテーテル治療の入院であることが分かります。３位の不整脈はペースメーカー手術を目的とした入院です。４位は心臓というﾎﾟﾝﾌﾟの弁に機能障害を生じる弁膜症です。弁膜症総数74入院のうち詳細条件に一致した41入院がここに挙がっています。５位は心不全です。心不全は原因によっては他の分野に分類されることも多いため、実際の心不全入院のうちの一部がこれにあたります。

1位から3位の主な疾患は新生児における早産児、低出生体重児、呼吸障害、感染症、黄疸、仮死などによるもで、出生時の体重や手術の有無、副傷病でそれぞれ診断群分類が分かれています。
4位に気管支に急性の炎症が生じ、咳や痰などの呼吸器症状を引き起こす急性気管支炎、急性細気管支炎等、5位に15歳未満による肺炎と続きます。

直腸肛門（直腸S状部から肛門部分）の悪性腫瘍の症例が最も多く、結腸（虫垂を含む）の悪性腫瘍に対する結腸切除術と続きます。前年度外科で一番患者数の多かった虫垂炎による切除術は今年度は３位となっています。　
４位には手術を伴わない結腸（虫垂を含む）の悪性腫瘍、同じく手術を伴わない虫垂炎の順となっています。

1位が昨年度と同じく大腿骨頸部骨折に対する手術目的の症例で、整形外科全体の３割程度を占めています。平均年齢８５.９歳と高齢者の割合が非常に多い症例です。次に神経の束である脊髄を保護する役割を持つ脊椎に変形が生じ、脊髄を圧迫している状態の腰部脊柱管狭窄症に対し、治療方針を決定するための検査目的の入院です。３位に膝関節周囲の骨折や脱臼による手術、次いで橈骨遠位端骨折などの前腕骨折に対する手術となっています。

１位は頭に外から力が加わることで頭蓋骨、脳の損傷を来す頭蓋・頭蓋内損傷の手術施行による入院となります。２位は外傷を伴わない頭蓋内血腫で、頭蓋内で出血があり血塊を生じたもので意識レベルはJCS10以上（呼びかけで容易に開眼する）です。３位は、１位と同じく頭蓋・頭蓋内損傷ですが、こちらは手術を伴わない症例となっています。４位も非外傷性頭蓋内血腫ですがこちらの意識レベルはJCS10未満（覚醒している状態）となります。５位は脳の血管の一部が瘤状に膨らんだ状態で、出血をきたしていないものを指す未破裂脳動脈瘤で手術を伴わない症例です。
DPCコードに沿った詳細分類では上記の結果となりますが、全体像が分かりにくいので追加させていただきます。一般的な疾患分類で大まかに順位をつけさせてもらいました。１位は脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血からなる脳卒中ですが、当院では開頭による直達手術とカテーテルで行う脳血管内治療から患者さんに適した方法で治療しています。２位は頭部外傷ですが、転落や交通事故などが原因で手足や体幹のけがを含む多発外傷の患者さんが目立ちます。３位は脳腫瘍の患者さんです。良性腫瘍で手術後直ぐに退院される方もいますが、悪性脳腫瘍の患者さんには必要に応じて放射線治療、化学療法も行っています。

１位が手術等を伴わない早産関係の入院で産婦人科全体の約１０％を占めています。続いて子宮頸癌や子宮体癌の悪性腫瘍に対し化学療法を行う症例です。３位は内視鏡による卵巣腫瘍の手術での入院、次いで子宮平滑筋腫など子宮の良性腫瘍に対し手術を行う症例となります。
４位は子宮頸癌や子宮体癌に対し手術を行う症例であります。
５位に２位と同じく卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍に対する症例ですが、こちらは手術を伴うものとなります。

１位が黄斑、後極変性に対する手術目的の症例で水晶体再建を伴うものです。２位は昨年度一番多い症例だった緑内障による手術症例です。３位は網膜剥離に対する手術目的の症例で、これらの症例の平均在院日数はいずれも全国平均と比べ短い傾向にあります。
続いて硝子体疾患による手術、水晶体再建を伴わない黄斑、後極変性に対する手術と続きます。

耳鼻咽喉科で最も多い入院症例は、急性扁桃炎や急性喉頭蓋炎で一般的に保存的治療となりますが、時に外科的治療を併用します。２位が突発性難聴でこちらも一般的に保存的治療となります。３位は慢性副鼻腔炎、４位は耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍による手術を伴う症例で、５位に前庭機能障害（めまい）の順となっています。

脳神経内科は急性期および慢性期神経疾患全般を幅広く診療しております。
１位から４位までが全て脳梗塞の症例ですが、発症からの日数、意識レベル（JCS10）、副傷病の有無で症例が細分化されています。急性期の場合は入院早期に抗血栓薬、抗凝固薬を投与し症状の改善を図ります。当院で急性期治療を受けた後は地域連携パスにより、回復期リハビリテーション病院等への転院や、地域包括ケア病棟へ転棟し、引き続きリハビリテーションを継続していただく体制も整っています。

皮膚科についても症例により形成外科等に転科することの多い診療科ですが、皮膚に生じる色々なトラブルを診察しており、受診される患者さんの年齢もすべての年代にわたります。入院の場合は比較的高齢の患者さんに対する症例が上位を占めています。一番多い症例が手術を伴わない急性膿皮症で、皮膚の悪性腫瘍による腫瘍切除、急性膿皮症による手術、帯状疱疹、水疱症と続きます。

内視鏡手術目的の膀胱がん症例が最多で２０％を占めています。急性尿路感染症症例、前立腺肥大症内視鏡手術症例、尿路感染症による敗血症症例と続きます。腎・尿管がんの手術症例が５位でした。

救急症例は、初療後その多くが専門各科での治療となりますが、薬物等による中毒や手術を伴わない外科系症例（頭蓋・頭蓋内損傷、肺・胸部気管支・気管支損傷等）、誤嚥性肺炎、てんかん等の一部は救急科で入院治療も行います。

大腸（結腸、直腸）ポリープに対する内視鏡を用いたポリープ切除術を最も多く行なっています。続いて胆管の狭窄部にステントという管を留置し狭窄を改善する胆道ステント留置術となっています。内科手術の多くは内視鏡を用いた手術となっています。

冠動脈の狭窄や閉塞した部位に、風船による拡張や金属の筒状メッシュ（ステント）を挿入することにより血管を広げるカテーテル治療があります。緊急治療と待機的治療を合わせると計180例になります。１、３、４、５位は細分化されていますが、すべてこの治療です。冠動脈治療が上位を占めていることがわかります。２位は不整脈治療の一つであるペースメーカーの新規植込み術症例です。交換術と合わせると56例になります。

１位と２位は出生直後の新生児仮死（呼吸循環不全）に対し蘇生を施すものです。第2度は第1度よりも重症な状態を示すものです。

１位は腸の一部などが鼠径部（足の付け根辺り）の筋膜の間から出ている状態（鼠径ヘルニア）を修復する手術です。通常５日以内で退院が可能な手術です。続いて、外科手術の施行に伴い行われる術中術後自己血回収術、３位は腹腔鏡を用いた鉗子による胆嚢摘出手術です。

大腿骨や前腕骨の骨折に対する手術が最も多く、続いて肩や股への人工骨の挿入術の順となります。また、術後の挿入物の除去術を行っています。

脳神経外科については、診断群分類別患者数で一括してコメントしておりますのでそちらをご確認ください。

１位は主に卵巣や卵管の良性腫瘍に対して腹腔鏡を用いて行う手術、２位は主に子宮の良性腫瘍に対して全摘出を行う手術、３位は主に子宮頸部上皮内腫瘍に対して行う円錐切除手術です。４位は子宮の悪性腫瘍に対して行う手術となっています。

１位の水晶体再建術は白内障に対する手術で眼科手術全体の７０％程度を占めています。片目手術の場合平均３日間の入院となります。２位と３位は出血などで混濁した硝子体や膜様組織を切除して吸引除去を行う硝子体茎顕微鏡下離断術となります。続いて硝子体再建術、緑内障の手術となっています。

１位の口蓋扁桃手術は、口腔内から止血しながら口蓋扁桃を剥離して摘出する手術です。２位は慢性副鼻腔炎に対し内視鏡を用いて行なう手術です。３位は直達鏡といわれる手術器具を用いて喉頭腫瘍の摘出を行う手術となります。

膀胱がんの内視鏡切除手術が最多です。尿管狭窄・閉塞に対して行われる尿管ステント留置術が２位、以下前立腺肥大症内視鏡手術、腹腔鏡による腎・尿管手術、膀胱結石の内視鏡砕石術と続きます。低侵襲の内視鏡手術が大半を占めていることが分かります。